16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
『……ねぇ、由貴のこと……諦めてよ……』

『聞いてるでしょ、うちの父親の借金のこと。苦しかった……つらかった!慣れない生活にも耐えた!それもストレスで倒れるまでね!』

『私、もう沢山頑張ったよ。……だから、お願いだから由貴だけは……!』



梨央さんの言葉が鮮明に脳裏に蘇る。

きっと名良橋君も、梨央さんといるのが幸せなんだろうな。

私は、梨央さんの恋の邪魔にしかならないんだろう。



「ねぇ、私も聞いてるの。答えて」

「……話すことなんか、何もねーよ」

「嘘。私言われたよ?名良橋君のこと好きなのかって。あんなの、余程自信がないと言えないよ」



譲れないとか、渡さないとか――そうか、私やっとわかったよ。

名良橋君や高野君や梨央さんが持っていて私にないのは、希望だ。



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