16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
知らぬ間に早口になる。

視界が、滲んできてしまった。

本当は、名良橋君の傍に梨央さんがいるところなんて見たくないよ。

ずっと、名良橋君と笑い合っていたいの。

だけど、口を衝いて出る言葉は強がりばかりで。



「これでもう、気掛かりなこともなく――」



言い終える前に、名良橋君に腕を引かれる。

時が、止まった気がした。

それは永遠のようにも、一瞬のようにも思えて。

目の前では、閉じられた名良橋君の目。

唇に触れる熱は――私と名良橋君、どっちの?



「お前、全然わかってねーよ」



息がかかる距離で名良橋君が苦しそうに呟く。

その頃、漸くキスされたのだと理解する。



「ほんと、何もわかってねー……」



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