16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
そう思うと、何だか笑えた。



――ヴーヴー……

テーブルの上で震えるケータイに視線を落とすと、そこには実家と表示されていた。

一瞬にして鼓動が速くなる。



どうして?

一人暮らしを始めてから碌に連絡とってなかったのに。



出るか出まいか迷った挙げ句、出ることにした。

内容が何であれ、大好きな家族からの連絡は嬉しいもん。



「……もしもし」

『……もしもし、由仁?』



声の主はお母さんだった。

まぁよく考えたら、お父さん会社だろうし、お姉ちゃんは大学だろうから当たり前なんだけど。



『久し振りね』

「そうだね。元気にしてた?」



声が、震える。

それはどうやらお母さんも同じらしく、巧く話せない。



< 124 / 220 >

この作品をシェア

pagetop