16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
前は当たり前に聞いていたこの声も、笑顔も……もう傍にはないんだ。



『こっちは大丈夫。由仁こそ、どうなの?』

「ちょっと寝不足でフラフラするから、今日は休むことにした。前に倒れたばっかりだから」

『……そう』



私が倒れたりしても、実家には知らせないようにしている。

それを、お父さん達が咎めることはない。

私が心配かけないようにしてることを、きっとわかってくれているから。



「それで、今日はどうしたの?」

『……あぁ、そうだったわ。お金のことなんだけど、足りてる?病院代とかあるでしょ』

「うん、大丈夫だよ。逆に多いくらい」



出来るだけ、明るく。

心配なんてさせちゃ駄目。

自分にそう言い聞かせ、振る舞う。



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