16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
「……名良橋君の、馬鹿……っ」



なんで私にボールなんて渡したのよ。

3ヶ月間、一度も触らなかったのに。

名良橋君の所為で思い出してしまった、ボールの感触。

耳にこびりついて離れない、バッシュのキュッて音。

忘れたくても忘れられない、シュートが決まったときの快感。

何もかも思い出してしまったけど、私は何かを願っちゃいけない。



「どうせ、死ぬんだから……」



震えた弱々しい声は、誰の耳にも届かずにただ虚しく消えていったのだった。




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