16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
由羽ちゃんが作ってくれたハンバーグを、油をひいたフライパンに乗せる。

スープやサラダはもう出来ているので、後はこれだけだ。

ハンバーグに火が通るのを待ちながら、私は名良橋君の姿を思い浮かべていた。

真っ直ぐで、面倒見のいい名良橋君。

そんな名良橋君だから、私は好きになった。

名良橋君じゃなきゃ、駄目だった。

人生最初で最後の恋が、名良橋君でよかった――……。



そんなことを考えていた私の服のポケットで震えたケータイ。

画面には、名良橋君の名前が表示されていた。



「もしもし、名良橋君?」

『あ、早坂?部活終わったから、今から向かうわ』

「そっか、お疲れ様。ハンバーグ作って待ってるよ」



コンロの火を少し緩めながらそう言うと、電話越しに名良橋君の嬉しそうな声が返ってきた。


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