16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
「……っ!」

「早坂さん!?」



心臓に、刺したような痛みが走る。

立っていることが出来ず、私はその場にしゃがみ込んだ。

事情を知っている高野君が咄嗟に支えてくれたので倒れはしなかったけど、足に力が入らない。



「とにかく、今日は帰ろう。多分、名良橋の意識もまだ戻らないから」

「でもっ……」



引き下がろうとする私の耳元でそっと高野君が呟く。



「無理して倒れて、バレてもいいの?」



と。

傍では、何も知らない伊東君や高鴫さん、由羽ちゃんが心配そうに私を見ている。

いいわけ、ない。



「……わかった」



私が小さく頷くと、高野君は高鴫さんに由羽ちゃんを見ておくよう声を掛けた。



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