16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
「行こう。歩ける?」

「……ん」



高野君に支えられ、私は何とか歩き出すことが出来た。

伊東君達の視線を背中に痛いほど感じたけど、それに応えていられる余裕はなくて。

ただ、名良橋君のことで頭がいっぱいだった。





「お邪魔します」

「ん……どうぞ……」



初めてアパートを訪れた高野君は、少し緊張気味で足を踏み入れた。

別に変なことするんじゃないんだから、そんなに緊張しなくてもいいのに……。



「あれ、ハンバーグ……?」



机の上に置かれたままのハンバーグに目線を落とし、高野君が呟く。

それを見た途端、ちくりと胸が痛んだ。

3人で、食べられなかったな……。



「これ、アイツに?」

「……うん。由羽ちゃんが、名良橋君ハンバーグ好きだって言うから」



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