16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
そして深く息を吐き出すと、今度はいつもの明るい笑顔を浮かべて私を見上げた。



「せめて最後までいてやってよ、アイツの傍に」



その言葉が、私の心を揺さぶった。

最後のときまで傍にいたいなんて、私の我が儘だと思って、口に出すことが出来なかった。

それでも。



「うん……。傍に、いたい」



名良橋君の親友の高野君が言うんだから、間違いないんだろう。

保健室で話したときから――ううん、もしかしたらもっと前から。

もう、名良橋君と離れることは出来なかったのかもしれない。

病気に侵されることが運命なら、名良橋君を好きになることもきっと運命だった。



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