16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
「早坂さんが名良橋に病気のこと言わないなら、俺はそれでいいと思うよ」

「……うん」

「だけどさ、アイツあんな性格だから。多分、早坂さんがいなくなっちゃったとき、自分を責めると思うんだ」



結城のときがそうだったように、と高野君は付け足した。

そっか、そんなこと考えもしなかった……。

私はベッドに座り、高野君の次の言葉を待った。



「だからさ、早坂さん。お願いがあるんだ――……」





翌日、私は登校前に名良橋君の病室を訪れていた。

目の前にあるのは何の変哲もない扉の筈なのに、まるでそれが鋼の扉に思えてくる。

何度も深呼吸をして、扉に手を掛けたとき――



「あら?」



と、背後から女の人の声が聞こえてきた。



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