16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
私に軽く頭を下げてから、お母さんは足早に去っていった。

もう今日は学校休んで、名良橋君の傍にいよっかな……。

私も立ち上がり、今度こそ病室の扉を開く。



名良橋君は一番奥のベッドで、目を閉じたままだった。



「……名良橋君……」



昨日、名良橋君が事故に遭う前に聞いた声がまだ耳の奥に残ってる。

『じゃあ、走って行くな』

『ばーか、俺はハンバーグとマイシスターズのためなら頑張れんだよ』

『まぁ取り敢えず今から行くから!』

何度も何度も響く名良橋君の声を、今ここで聞くことは出来ない。



「……やだ……っ」



このまま目を覚まさなかったら、なんて。

もう一度、名良橋君の瞳に私を映してほしい。



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