16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
今まで過ごしてきた時間も、苦し紛れに吐いた嘘も。

全部全部、私の軌跡だと信じたい。

だけど、



「名良橋君がいなきゃ、やだよぉ……」



溢れ出した涙は、冷たい床に小さな小さな水溜まりを作った。

名良橋君の手を握り、額に当てる。

大丈夫、名良橋君はここにいる。

私は、ここにいる――……。





差し込む光の眩しさに顔を歪ませる。

どうやらベッドに突っ伏して寝てしまったようで、微妙に腰が痛い。

と、顔を上げると。



「はよ、早坂」



と、名良橋君が満面の笑みを浮かべていた。



「っ!?」

「何だよ、その鳩が豆鉄砲喰らったような顔」

「だだだだだって、……いつ!?」



自分でも何言ってるのかよくわかんない。



< 185 / 220 >

この作品をシェア

pagetop