16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
それでも、名良橋君は私が言いたいことを理解してくれたようで。



「さっき。起きたら早坂が寝てんだもん、吃驚した」

「ご、ごめ……」

「いや、いいんだけどさ。嬉しかったし」



そう言う名良橋君は終始笑顔だ。

何かが、おかしい。

いつもの名良橋君と比べると、明るすぎる。

それに笑顔も……笑顔という仮面を被ってるみたい。



「名良橋君……もしかして、頭打った?」

「失礼な。正常だっつの」

「だって何か変だよ!いつもこんなにニコニコしてな――」



そこまで言いかけて、口を噤んだ。

名良橋君の目線が、静かに足に向けられていたから。

そっか、そうだよね。

平気でいられるわけないじゃん。



「……ごめん」

「ん?何が?」



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