16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
何もなかったかのように笑う名良橋君が、苦しかった。

深く考えずに余計なことを口走った自分が、憎かった。

ほんとは名良橋君だって、悔しい筈なのに。



「あーでもビビったよ。走ってたらすぐ横にトラックが迫ってんだもん。避けれるわけねぇって」

「そう、だよね……」



笑い飛ばそうとする名良橋君は、私の方を見たまま前を見ようとはしない。

ただ、仮面を被ったままいつもより明るく振る舞っていたんだ。

そして、日が暮れ始めた頃。



「名良橋ーっ!」

「目ぇ覚めたかー!」



と、高野君達4人が病室に入ってきた。



「ちょ、お前等!他の患者さんもいるから!」

「そう言う名良橋君も大概だよ」

「てか早坂さん、また休むから心配しちゃったよー」



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