16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
「へぇ……。前に行ったたことあんの?」

「うん、家族で。まだちっちゃかったけどね」



名良橋君は私の思い出の断片を、穏やかな笑顔で聞いてくれていた。

きっとまだ、くすぶってる気持ちはあるんだと思う。

遅くまで練習に励んでたのに、こんなことになってしまって。

悔しくて悔しくて、仕方ないと思う。

だけど、今日は私が傍にいるから。

だから、全力で笑おう。



そう思えるようにさせてくれたのは、他でもない、名良橋君なんだよ。



「そう言えば、ハンバーグありがとな」

「ううん、作ったの由羽ちゃんだもん」

「焼いたのは早坂だろ」



あのウサギハンバーグをお弁当箱に入れて、“お見舞い品”なんて肩書きで持って行くと、名良橋君は予想以上に喜んでくれたんだ。



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