16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
「誕生日にケーキ食べるじゃん?昔、いつものチョコケーキじゃなくて他の茶色いケーキを買ってみたら、それコーヒーだったんだよ」



それから食いもんに関しては無難なものを選ぶようになった、と、名良橋君は付け足した。

名良橋君の小さい頃の話、初めて名良橋君の口から聞いたかも。

そんな些細なことが、嬉しい。



「私は逆かも。昔、同じお菓子ばっかり食べててね。飽きちゃって、別のヤツかったら思いの外美味しくって。それからは、発見があるかもしれないって思うようになったの」

「逆だな」

「だね」



店員さんが注文を聞きに来たので私は塩バターラーメンを、名良橋君は醤油ラーメンを頼んだ。

暫くして運ばれてきたラーメンは期待通りに美味しくて、名良橋君にも勧めてみたけど、名良橋君は頑なに首を縦に振ろうとはしなかった。



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