16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
ラーメン屋を後にし、私達は海岸沿いのコンクリートの道を歩く。

そこには私達以外誰もいなくて、まるで2人だけの世界みたいで。

本当にそうだったらよかったんだろうけど。



「静かだな」

「……そうだね」

「早坂の引っ越し先、ここだったらいいのに」

「え……?」



首を傾げていると、名良橋君は海に視線を向けたまま少し寂しそうに微笑んだ。



「ここなら時間があれば会いに来れるし、知らない場所じゃないじゃん」

「名良橋君……」

「あの約束は、守るから」



“あの約束”が、何を示しているかは何故かすぐ理解することが出来、胸がちくりと痛んだ。

“バイク、免許取ったら後ろ乗ってくれるか?”

“私を乗せるまで、誰も後ろに乗せないって……約束して!”



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