16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
“……わかった。ちゃんと、約束守るから。だから……絶対な”

果たされることのない、幼い私達の口約束。



「それ果たさねぇと、俺マジで口だけのヤツだろ」

「……そんなこと、ないよ……」



声が、震えた。

口だけなのは、私の方。

なのに、名良橋君に忘れられるのが怖くて、約束なしにしようって言えなくて。



「……ごめんね……」

「ん?何か言ったか?」

「ううん、何でもないよ」



ごめんね。

弱虫で、ごめんなさい。





四阿に腰掛け、2人でただぼうっと海を眺める。

時折吹く、じめっとした風が私の髪を靡かせていた。



「6月なのに、晴天だな」

「そうだね。明日からまた雨降るみたいだけど」



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