16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
あ、もうあんな遠くにいる。

私も早く追いつかなきゃ。

だって名良橋君怪我してるのに、転んだら危ないもん。



だけど、歩き出そうとする私の意思とは反対に、体が鉛みたいに重くなって動かなくて。

駆け巡る痛みは、最早どこが痛むのかすらもわからない。

そして次の瞬間、



――ドサッ……

世界が、反転した。



「早坂!?」



薄れていく意識の中で、私を呼ぶ名良橋君の声だけが何故かはっきりと聞こえたんだ。





もう駄目かも、と本気で思った。

余命半年、そう言われていたけど、ちゃんと半年かどうかわからないことなんて初めから知っていた。

もしかしたらそれよりも長く生きられるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

その2つの中で、そうじゃない方だっただけのことと言えばそれまでだけど。



< 206 / 220 >

この作品をシェア

pagetop