16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
そうじゃない方の中でも、まさかこんなに早いとは思わなかったよ。

再来週、誕生日だったのに。

16歳ってお酒とかタバコとか吸えないけど、免許取れたりして、ちょっと大人の階段上った気になれるじゃん。

だから“16歳”は、昔から憧れだった。

名良橋君はもう16歳なのに、私はまだ15歳で。

たった1歳の差が、大きく感じた。





掌にぬくもりを感じ、私は薄く目を開いた。

真っ白な天井に、何度嗅いでも好きになれない消毒液の匂い。



「早坂……?」



名良橋君が心配そうに私を見ている。

そうか、この手の温もりは名良橋君だったんだ。

どうやらまだ、生きてるみたい。

名良橋君に支えてもらい体を起こすと、名良橋君の目元に隈が出来ていることに気付いた。



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