16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
心配……かけたよね。



「あの――」

「全部聞いた」



私の言葉を遮り、名良橋君は低く呟いた。

瞬間、私の動きは止まる。

息をするのも、忘れるくらいに。



「……え?」

「早坂の主治医の先生から聞いたんだよ。早坂の病気のことも……余命のことも」



名良橋君は悔しそうに顔を歪ませて、何かを訴えるように私の顔を見ていた。

違う、こんな顔させたかったんじゃない。

名良橋君には、笑っててほしいのに。



「ごめんね、名良橋君……。嘘ばっかりで、ごめんなさい……」



私が吐いた嘘は、自分勝手で、利己主義なものばかりだった。

それが結果的に、こうやって名良橋君を傷つけてしまってる。



「……俺は、嘘だとは思わねぇよ」



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