16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
こんなにも苦しくて、こんなにも愛しいことなんてなかったよ。



「……死にたく……ない……っ」



言葉にしてみて、また涙が出てくる。

私を抱き締める名良橋君も、震えていた。

このぬくもりが大好きで、ずっと離れたくなくて。

だけど、私達の行く道は2つに分かれてる。



「ねぇ……最後の我が儘、言っていいかなぁ……?」

「……何だって聞いてやるから……だから、最後だなんて言うな」



名良橋君の掠れた声が耳元で響く。

名良橋君の思いが、ストレートに胸に滲みて。

不謹慎だけど、嬉しかったの。



「あのね……」

「……うん」

「最後まで、傍にいてほしい――……」



私がここからいなくなる、その瞬間まで。



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