16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
そんな小さな願いは、誰に届くわけでもなくただこの空虚に響くだけで。

いっそのこと無欲になれたらいいのに、とさえ思ってしまう。

何も欲するものが無ければ、何かを得ることもない――そして何かを失うこともない。



「……余命、なんて知らなかったら……私今も……笑ってたかな」



幼き頃描いた未来予想図には、女の子なら誰でも憧れるブレザーを身に纏い、全てをかけてバスケをしている自分の姿が在った。

だけどそんな記憶も今は忌々しく、消し去りたい記憶として私の心に棲みついている。

3ヶ月前告げられた死の宣告が私から全てを奪い、そして締め付けて――私という人間を、殺した。

今の私には、その事実しか残っていないんだ。





< 23 / 220 >

この作品をシェア

pagetop