16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
薬の袋はその紙の傍に置いてくれていたので、そのまま持って帰ってもいいと言うことだろう。

紙の空いたスペースに【連絡ありがとうございました】と書き加え、保健室を出る。

帰ろう――そう思ったとき、前から歩いてくる人物と目が合った。



「名良橋君……」

「早坂……?」



名良橋君は腕を痛めたのか、左腕をアイシングしている。

私に気付いた名良橋君は、切れ長の目を見開いて私の名前を呼んだ。



「早坂、部活入ってたっけ?」

「……入ってないよ」



名良橋君から顔を背け、質問に答える。

名良橋君は私を真っ直ぐに見つめるから……苦手だ。



「てか今、先生いねぇの?」

「うん、職員室行ってるみたい」

「……どうすっかな。俺自分で処置とか出来ねぇんだけど」





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