16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
「まぁ、一応は。高野も入ってるよ」

「じゃあうちのクラス、球技大会とかでバスケ当たったら強そうだね」



包帯を巻きながら、ふと頭上で名良橋君が笑った気配がして。

顔を上げると、名良橋君は目を細め穏やかに笑っていた。

あまりに突然のことに、私の思考は停止しかける。



な、何この笑顔……!



しどろもどろになっている私に、名良橋君が薄く口を開いて「やっと笑ったな」なんて呟くから。

迂闊にも、胸が音をたてて跳ねた。



「……私だって笑うときは笑うよ」

「そうか?入学してから、ずっと早坂が笑ったとこ見たことなかったから」

「……それは」



そこまで言って、慌てて言葉を飲み込んだ。

私、今なんて言おうとした?

それは、のその先の言葉は、一体何だった?



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