16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
その瞳が、全てが、間違っていると訴えている。

私に、今を楽しめと言っている。



「ねぇ、由仁ちゃん。やっぱり……」

「すみません、先生。もう、決めたことですから。それに、3ヶ月後は夏休みに差し掛かってるし、あまり噂にはならないと思うから」



昔見たテレビドラマのワンシーンが、ふと脳裏に過ぎった。

病気を抱えていたヒロインが死んだとき、その友達が「どうして教えてくれなかったの」って泣き叫んでいた姿が。

私には、そうやって泣いてくれる人もいないんだけど。

仮に誰かと関わりを持ったとしても、病気のことを教えるつもりはない。

だって、腫れ物に触るように接されるのは目に見えてるもん。



「でもそれじゃ貴方が……由仁ちゃんが、苦しいじゃない」





< 4 / 220 >

この作品をシェア

pagetop