16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
つい興奮して身を乗り出すと、腕を掴まれた。



「ほっせー腕」

「……っ、離して!」



叫んでも、名良橋君は腕を離そうとはせず。

さっきとは打って変わったような真剣な顔で、私を見つめた。

そして、今にも消え入りそうな声で呟く。



「なぁ、早坂」

「な、何……」

「お前……いなくなったりしねぇよな?」



名良橋君の目は、切なく私を捉えて。

自分でも、その捉えられた瞳が揺れたのを感じた。

何よ突然――いなくなったりしないよな、なんて。



いなくなるよ、私。

もう、時間なんてないよ。

例えば名良橋君が、私がここにいることを望んでくれたとしても。

どれだけ強く願っても。

秋になったら、私はもういないんだ……。





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