16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
それは、痛い程わかっているのに。

腕を掴む名良橋君の腕が小さく震えていて。

あまりに、名良橋君の表情が切なげで。



「……いなく、ならないよ……」



神様、ごめんなさい。

私は、大きな大きな嘘を吐きました。

関わりたくないと思うのに、私は関わってしまった。

今にも泣き出しそうなこの人を、私は放っておくことが出来なかった。

それが全てで、それ以外に理由なんていらなかった。



――でも。



「……いなくならないけど……いなくなっちゃうよ」



嘘を、嘘のままにはしておけない。

関わらないことが出来ないなら、せめて。



「……どういうこと?」

「……夏には、私引っ越すことが決まってるから。遠くに行くから、いなくなっちゃう」





< 41 / 220 >

この作品をシェア

pagetop