16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
名良橋君がどう動くかなんて、大凡の検討はついていた。

きっとまた、私を輪の中へ引き入れようとするんだろう。

それは、名良橋君に関わった時点で免れない事実だ。



「……んだよ、それ」

「……私、昔から転校ばっかりで。だから、別れがつらくて友達なんていらないって思ったの」



嘘を嘘で塗り固め、名良橋君を騙す。

あぁ私、詐欺師に向いてるかもなぁ――そんなことを漠然と思いながら、泣きそうになるのを堪えていた。



「……って俺、いきなり変なこと聞いたよな」

「……かなりね」



名良橋君はパッと顔を上げ、くしゃっと笑った。

大人びて見えた名良橋君が、初めて高校生らしいあどけない表情になった気がした。





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