16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
「……なんで早坂が泣くんだよ」
「……泣いてないよ」
答えた声は、明らかに涙声だ。
名良橋君はふっと笑い、言葉を続けた。
「別に、悲しくなんかねぇよ。ただちょっと、悔しいだけ」
名良橋君が、嘘を吐いた。
少し――ほんの少しだけど、名良橋の顔が歪んだ。
本当は、悲しいんでしょう?
悔しいのは、ちょっとじゃないでしょう?――なんて、私には訊ねる勇気もないんだけど。
「……私と、その梨央さんは似てたの?」
私の問いに、名良橋君は首を横に振った。
そして、「正反対だよ」と呟く。
「けど、重なった。いなくなる前日の梨央と――早坂が」
重なったのなら、きっと梨央さんも苦しかったんだろうな。
本当はずっとここにいたくて、だけどいられなくて。
「……泣いてないよ」
答えた声は、明らかに涙声だ。
名良橋君はふっと笑い、言葉を続けた。
「別に、悲しくなんかねぇよ。ただちょっと、悔しいだけ」
名良橋君が、嘘を吐いた。
少し――ほんの少しだけど、名良橋の顔が歪んだ。
本当は、悲しいんでしょう?
悔しいのは、ちょっとじゃないでしょう?――なんて、私には訊ねる勇気もないんだけど。
「……私と、その梨央さんは似てたの?」
私の問いに、名良橋君は首を横に振った。
そして、「正反対だよ」と呟く。
「けど、重なった。いなくなる前日の梨央と――早坂が」
重なったのなら、きっと梨央さんも苦しかったんだろうな。
本当はずっとここにいたくて、だけどいられなくて。