16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
「私は大丈夫です。一人暮らしも、もう慣れたし」

「……そう」



延命治療もせず、ただ死を待つだけの私。

死ぬことが怖くない――訳じゃないけれど、何か希望を持って生きることに疲れただけ。

持ってきていたパンの袋を開けて齧る、が、喉を通らない。

食べることを諦め、パンをコンビニの袋に直したとき――

――ガラッ……

背後の扉がいきなり開き、食べていたパンが喉に詰まりそうになった。



「……っ」

「ちょっと由仁ちゃん、大丈夫?」

「……はい、何とか」

「よかった。名良橋くんじゃない、どうしたの?」



聞き覚えのある名前に振り返ると、そこにはブレザーの下にパーカーを着たクラスメートの名良橋由貴〔ナラハシユキ〕くんが立っていた。





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