16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
高野君の腕の中で必死に頭を振る。

違う、違うよ高野君。

固かった筈の決心も簡単に揺らぐような、そんな人間で。

誰かに縋りたいと思う程度に、私はまだ子供だったの。



「……名良橋には言ってんの?」

「……ううん、言ってないよ。名良橋君には……夏には転校するって言った」

「んだよ、それ……っ」

「名良橋君には絶対に言わないで!高野君も知ってるんでしょう?梨央さんのこと!」



これ以上、名良橋君の心に傷を増やすわけにはいかない。

どこにもいかないよな――そう切なげに聞いてきた名良橋君を、これ以上苦しめたくないの。

だってきっとあれは、名良橋君の願いのようなものだと思うから。





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