16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
何を考えているのかわからない名良橋君に背を向け、私は袋に入れたパンをもう一度取り出し頬張った。

食べなきゃ、ここに来る元気もなくなってしまう。

背中に名良橋君の視線を感じながら、私はただ黙々と口を動かした。



そんなことをしているうちに、いつの間にか予鈴が鳴った。

戻らないと、と振り向いたとき、目の前に何かが現れた。



「……!」

「戻ろうぜ、早坂」

「ま、まだいたの!?」

「いちゃ悪ぃかよ」



イメージ通り無愛想な名良橋君を前に、私の頭は真っ白だった。

今戻ろうって言った?

言い方からして、一緒にってことよね?

……なんで?


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