16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
「……名良橋君、1人で戻ればいいじゃん」

「戻る方向同じだろ」

「そ……だけど」

「クラスメートなんだし、一緒に戻っても不思議じゃねーだろ」



意思の読めない名良橋君の瞳に、思わず怯みそうになる。

駄目だ、折れちゃ。

私は誰にも気付かれずに死ぬって決めたんだから。



「……私、1人で戻る」



病気だからって、保健室で寝ていたくない。

ちゃんと授業受けたい――でも!

名良橋君と教室までの道のりを歩く義務なんてない!

私は意を決して保健室を飛び出した。



廊下に響く私の足音――と、もうひとつ。

まさか、と思い振り返ると、名良橋君がクールな表情で私を追いかけてきていた。





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