16歳の天使~最後の瞬間まで、キミと~
「っ!?」

「逃げんなよ!」



掴まれた腕から、痛みが伝わる。

逃げんな?

逃げるしかないじゃない。

病気から、逃げられないなら。

こんなことしたくないよ、私だって。

でもね、しょうがないの。

だって私、死ぬんだよ?

二学期になったら、私はもうここにはいないの。



「離して!」



全ての力を振り絞り、名良橋君の腕を振り払った。

名良橋君にはわかんないでしょ。

逃げなきゃいけない人に逃げんなって真っ直ぐ言えて、友達だって作れて、バスケだって出来て。

何より、貴方には未来があるじゃない。

わかるわけないよ、名良橋君には。





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