アウト オブ ザ ブルー
その日、私はマサと口を聞かなかった。
キーチに誤解されてしまったという絶望感に加えて、
マサには勝手にキーチに結婚を報告されてしまったという憤慨があった。
それでも私が寝ようとしたとき、マサが私に話しかけてきた。
「ミッチ、クリスマスにどこか行かないか?」
私は少し考えて返した。
「行かない。まだ体調も良くないし」
けれどマサはしつこかった。
「バイト代が入ったんだ。何かおいしいものでも食べに行こう?」
「なら貯金しなよ。クリスマスなんて外に出てもどうせ混んでて疲れるだけだから、家でゆっくりしてようよ」
私がそう言うと、マサは私の顔を覗き込んだ。
「どうした…?今日はやけに口数が少ないし、口を開けばご機嫌ななめだし…、また何かあった?」
マサには相変わらず全てを見透かされているようだった。
「別に…。卒論の仕上げでちょっと疲れてるだけ…。だからもう寝るね」
私は「おやすみ」とふとんを頭からかぶったが、マサはそれを無理矢理剥がした。
「やっぱり何かあったな。聞いてやるから話してみろよ」