アウト オブ ザ ブルー
今思えば彼の部屋に入れてもらったことは1度もない。
こっちから電話するといつも留守電だし、メールの返事がくることもまれで、
正直、私達は恋人といえるような関係ではなかった。
ただ彼から連絡があったときにふたりでドライブに行くというだけの仲だった。
けれどキーチの人柄のせいか、デートはいつも楽しかった。
キーチは私のどんな話もちゃんと受けとめてくれたので、私はすぐに彼を心の支えにし始めていた。
それでも夏が終わりに近づいたある晩。
私達は初めて男女の関係をもった。
私的にはそういうことをしなくても十分満たされていたし、バイト疲れもあってあまり気が進まなかったのだけど、
その日キーチはそういう気分だったらしく、
ドライブの途中で無理矢理そういうホテルに付き合わされたのだった。
私は仕方なく彼に応じた。