アウト オブ ザ ブルー
§8 孤独感
新しいティッシュボックスを取り出し、カードと指輪を元の位置に戻すと、
ドアの向こうで卓くんが私を呼んでいるのが聞こえた。
無理やり笑顔を作りドアを開けると、彼はいつにない表情でそこに立っている。
「遅くにすみません…。あの…、優がしばらくばあちゃんのところに泊まるからって、さっき家を出て行ったんですよ…」
「え…?」
マサが家を出て行ったと聞いて、本当ならマサではなく、私の方が出ていくべきなのにと思った。
「それで俺、優に明日着替えとか届けてくれって言われてて…。今ちょっと優の荷物取らせてもらってもいいですか?」
とりあえずどうぞと彼を部屋に通すと、卓くんはタンスの引き出しを開けながら聞いてきた。
「優とみちるさん、何かあったんですか?」
「え…」
答えに窮したが、「別に何もないよ…?」と笑うと、
卓くんは衣類を取り出す手を止め、いぶかしそうな面持ちでこちらを見てくる。
もしかすると卓くんはさっきの私達の話を聞いていたのかもしれない。
私はばつが悪くなり、「ごめん、ちょっと水飲んでくるね」と部屋を出ようとした。