アウト オブ ザ ブルー
すると卓くんはまた手を動かしながら言った。
「すみません…、俺、さっき優とみちるさんが話してるの聞いちゃったんですよ…」
「うそ…」
私がその場に立ち尽くすと、
彼は帰宅後私とマサが大声で言い合ってるのを聞いて、どうしたんだろうと部屋の前まで来ていたのだと話してくれた。
そしてお腹の子どもがホントは別の男性の子どもだとか、私がまだその人を好きだとか言っているのを全部聞いたそうだ。
確かに私達は大きな声をあげていたかもしれない。
失敗したと思った。
「聞いてたのが俺だったからよかったけど、もし母さんや忍に聞かれてたら、みちるさんまずいことになってましたよ…。これからああいう話は、もうこんな狭い家の中で絶対しないでくださいね」
卓くんは私に念を押した。
「ごめんね。次からは気を付けるよ…」
卓くんは再び手を止めると、小さくため息をつき、こちらを向いた。
「それにしても…、優は子どもの本当の父親じゃないのに、どうしてみちるさんと結婚することにしたんですか?」
結局、私は卓くんにもこれまでの経緯を全て話すことになった。