アウト オブ ザ ブルー
§9 遭遇

入院生活は孤独との闘いだった。


切迫早産は思っていたよりひどく、私は子宮収縮を抑える張り止めの点滴を受けながら、


ベッドで横になるだけの日々を過ごしていた。



ベッドの上ではできることが限られているし、人と会ったり話したりすることがほとんどなかったので、


お腹の子どもと一緒とはいえ、やはりさみしいものがあった。




私は4人部屋に入っていたが、そこには私と同じような妊婦がふたり入院していた。


彼女達とは時々話す機会があったが、


カーテンで仕切られたベッドとベッドの間には見えない壁があって、それを登ってまで相手の世界に入ろうとは到底思えなかった。





新しく私の担当になった医師は、40代くらいの無愛想な先生だった。


時々彼の診察を受けたが、何を聞いても「大丈夫だから」のひとことで済まされるし、回診にもあまり来てくれないしで、


こないだまでお世話になっていた個人病院の先生に比べたら全然印象が悪かった。
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