アウト オブ ザ ブルー

その瞬間、私は彼に釘付けになった。






その男性の顔立ちが、キーチのそれにすごく似ていたのだ。



背格好はこの彼の方が大きかったが、好きな人と同じ笑顔に鼓動が高まった。




動揺しながらお願いしますと立ち上がると、


彼は慣れない手つきでシーツを剥がし、時間をかけながらそれを新しいものに交換してくれた。


シーツ交換や病室の簡単な掃除はこれまで人の良さそうなおばさんがしてくれていたので、


「いつも来られてた方はどうされたんですか」とたずねると、


彼は「ああ、彼女は最近弊社を退社したんです。それで今日から僕がこちらにうかがうことになりました。以後よろしくお願いします」と軽く頭を下げた。




声のトーンはキーチと少し違ったけれど、


彼がゴミ箱の中身を持参した袋にあけたり、ベッド周りにモップをかけたりするのを見ていたら、


キーチがそこにいるような気がして、彼から目が離せなかった。
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