アウト オブ ザ ブルー
この『佐藤コージ』さんは、それからシーツ交換の度に私のベッドでいろんな話をしていくようになった。
彼は洋モノに興味があって、海外を放浪するのが趣味で、
高校を卒業後、フリーターとしていくつか仕事を掛け持ちながら、資金を作ってはちょくちょく旅に出ているということだった。
一応英語を勉強していた私とも話が合うところがあって、コージさんに会える入院生活は急に花が咲いたかのように思われた。
ほどなく私はコージさんと気軽に話ができるようになり、彼が来てくれる週に2回のシーツ交換日を楽しみに待つようになっていた。
キーチと顔が似ているということを除いても、コージさんには何か強く私を惹きつけるものがある。
言ってみれば彼に好意を持ったわけだが、この気持ちは恋愛感情とは少し違って、
どちらかというと頼れるお兄ちゃんができたか、気の合う仲間を見つけたような感じに近かった。
コージさんはやっぱりキーチとは別人だったし、
私のキーチへの気持ちが簡単に薄れることもなかった。