アウト オブ ザ ブルー
「よし、じゃあ今度こそホントに休憩な…。何か買ってくるからちょっとここで待ってて」
そう言って彼は下へ降りて行き、少しして缶コーヒーとココアを手に戻って来た。
私にココアを手渡してからコンリートの上に座りこむと、彼はすぐコーヒーに口をつけた。
「さっきのみちるの話に戻るけど…」
私がいただきますとプルタブを上げたとき、コージさんはコーヒーを自分の脇に置いて言った。
「正直、聞いてて甘えんなよーって思うとこがいくつもあったんだけどさ…、ちょっとだけすごくわかるところがあって、聞いててなんかせつなくなった…」
「え…?」
コージさんがそんなことを言うなんて意外だったが、彼が自分の話に共感してくれたというのはちょっと嬉しかった。
「えー、例えばどこらへん…?」
照れくさくなった私はそうおどけてみた。
コージさんはゆっくり私を見上げると、切れ長の目をさらに細めて答えた。
「…たとえ一緒になれなくても、好きな人をそう簡単に忘れられないんだってところ…」