アウト オブ ザ ブルー
「娘の写真を撮ってきたんですけど見ますか?」
そう聞かれたので、とりあえず首を縦に振った。
彼女はバッグの中から小さなデジタルカメラを取り出し電源を入れると、
液晶モニターに撮りたての写真を何枚か映し出してくれた。
ドキドキしながらそれを覗くと、薄いピンクの産着を着た新生児が透明なベッドに横たわっていた。
赤ちゃんがかすかに目を開けている顔は、なんとなくキーチに似ているような気がした。
「かわいいね…。名前はもう決めたの?」
「はい」
私はキーチのことを思い出していた。
「キーチならあっちで通用する名前をつけるぞとか言って、『リサ』とか『ナオミ』とかつけそうだけど…」
「さすが先輩、カンがいいですね。キーチは『レイラ』か『カレン』がいいって言ってました」
「やっぱりねー」
ふたりして声を上げて笑ったが、深雪ちゃんはすぐ真顔に戻って言った。
「でも、子どもの名前は私がつけさせてもらうことにしたんです」
「そうなんだ…。深雪ちゃん、占いとかにこだわってそうだもんね。やっぱり画数とか考えて決めるの?」