アウト オブ ザ ブルー
マサは「お茶を入れてきましょうか?」と言ったが、父が「構わないでくれ」と言ったので、
彼はそのまま私達の前に正座をし、カーペットの上に両手をついた。
「申し訳ありません…。結婚できなくなったのは、予定していた就職がダメになりそうだからなんです…」
「就職がダメって…、君は確か教員採用試験に合格したと言ってなかったかね?」
「それが…」
そしてマサは彼が苦しんでいる訳を話してくれた。
彼は去年の9月に県の教員採用試験の合格通知をもらっていたのだが、この県では合格したからといって即先生になれるわけではなく、
とりあえず次年度の採用候補者名簿に名前を載せてもらえるだけなんだそうだ。
その後教育委員会が需要に合わせて採用内定者に随時内定通知を送るらしいが、マサのところにはこの通知がまだきていないということだった。
もう3月になるというのにそれがこないということは、結局不合格と同じことになるんだとマサは説明してくれた。