アウト オブ ザ ブルー

夕方遅くに帰宅したマサは、その後夕食作りや翌日の準備などでバタバタしていた。



私は話を切り出すタイミングがつかめず、


やっと声をかけることができたのは、入浴後部屋に戻ったマサがふたり分のふとんを敷いているときだった。




「マサ…」


「ん?」


「婚姻届なんだけど…、あれ、明日出しに行くって言ってたよね…?」





そこでもし彼が「そのつもりだけど…、何か都合悪くなった?」などと言ってくれたら、


私は「ごめん、やっぱり結婚できない」と謝ろうと思っていた。






…が、


マサは私の予想とはまるっきり違うことを言った。




「ああ…、それなんだけどさ、よく考えたら明日俺、何時に帰って来れるかわからないし、あんま遅くなるとミッチにも悪いと思って、今日の午後ひとりで出してきたんだ」








「うそ…」








彼の予想外の行動に、


一瞬にして全身が凍りついた。
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