アウト オブ ザ ブルー
普通破水というのは、陣痛が強まり子宮口が全開になるのと前後して起こるものらしいが、
今回のように陣痛が来る前に破水が起こることを前期破水というそうだ。
これは妊婦5人にひとりくらいの割合で起こり、妊娠後期にはめずらしくないことらしい。
臨月前にこの前期破水になってしまうと、入院して薬で分娩の時期を遅らせるのが一般的だが、
子宮に細菌感染などの兆候が見られた場合、赤ちゃんの命優先で人工的に早産させることもあるということだ。
赤ちゃんが細菌に感染する…。
そんな説明を聞くと恐ろしい想像が先走り、背筋が寒くなった。
母親として、ひたすら我が子の無事を願うばかりだった。
看護師がカーテンの外へ出て行った後も、医師はなかなか姿を見せてくれなかった。
もう真夜中に近いし、先生が忙しいのもわかる。
しかし手遅れになったらどうしようと思うと、私は気が気でならなかった。
手に汗を握る。
すると、やっとカーテンの向こうから担当医の声が聞こえてきた。