アウト オブ ザ ブルー
「悪かったね、今お産があってそっちにかかりっきりで…」
彼はカーテンをばっと開け、汗染みのついた手術着姿を私に見せると、
またすぐカーテンを閉め、内診を始めた。
「陣痛は?」
「まだ来てないんですけど…」
このまま入院することになるのだろうか?
それならそれで構わない。
どうか赤ちゃんが無事でありますように…。
そう心の中で祈っていると、医師が小さく舌打ちするのが聞こえた。
「臍帯脱出だな…」
その聞き慣れない言葉に首を傾げていると、
彼は再びカーテンを開け、帽子とマスクの間から小さな目を光らせて言った。
「羊水と一緒にへその緒が出てきちゃって、赤ちゃんが危ないんだ。すぐ帝王切開で出しちゃうけどいいね?」