アウト オブ ザ ブルー

そんなことを考えていたら、耳元で助産師の声がした。




「あ、頭が出てきましたよ…」




周りの反応から、その後すぐ赤ちゃんが取り上げられたことがわかったが、私にはその光景が全く見えなかった。



子どもの産声さえ聞こえてこない。




男の子と女の子、どっちが生まれたんだろう。


早く知りたかったけれど、みんなバタバタしているようで、誰も何も言ってはくれなかった。






しばらくして助産師が枕元に戻って来て言った。


「ごめんね、女の子が生まれたんだけど、すぐ呼吸器をつけなきゃいけない状態だから、会うのはもうちょっと我慢してね」




女の子…。


女の子が生まれたんだ…。




見えないところで私とキーチをつないでくれる、大事な大事な宝物…。



とうとう生まれたんだ…。




子どもに会えないのは残念だったが、とりあえず無事出産できたことに私は胸をなで下ろした。






そっか…、女の子か…。



名前はどうしよう。


いっぱいかわいい服を着せてあげたいな。


大きくなっても、一緒に遊びに行ったりできるかな…。
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