アウト オブ ザ ブルー
「それ、どういう意味…?」
私が真顔で聞くと、後輩のひとりがあたりをキョロキョロ見回し、テーブルに体を近づけ小声でささやいた。
「ここだけの話ですけどね、先輩…、実は深雪が大変なことになってるんですよ」
「深雪ちゃんて…、あの、国交部の会計をしてる、3年の桜井深雪ちゃん?」
と友実。
「そうです」
「深雪ちゃんて言えばさ…、最近あまり見かけなくない?」
とマサ。
後輩達は再び目で合図し合うと、いきなり私達の隣に座ってきた。
「あのー、ここだけの話にしてもらえます?」
「な、何…?」
私達はスクラムを組むかのようにみんなで顔を近づけ、彼女達の話に耳を傾けた。
「実はうちら3年の間でずっとウワサになってたんですけど…、深雪…、キーチと付き合ってるみたいなんですよ」
「えっ…?」
耳を疑った。
キーチと付き合ってるのは私なんだけど…と、つっこみそうになったが、とりあえず黙って続きを聞くことにした。